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社長のためのマーケティング


社長のための「マーケティングの使い方」

社長にとって、マーケティングは大事な仕事……のはずですが、世間的には意外とそうでも無さそうです。

このページは、社長がマーケティングをどう理解し、どう考えればいいのか、という「マーケティングの使い方」について、S&Tの考え方を解説しています。社長の方、必読です。

 

●社長はマーケティングを「理解」している必要はある


マーケティングは、ざっくり言えば「売上を作る」という活動全般です。

利益=売上−費用

ですから、始まりは「売上」です。

利益を上げることが会社の最終目標とは限りませんが、利益が出なければ企業活動は継続できませんし、成長のための投資もできません。

財務・資金調達、キャッシュフロー管理なども社長の重要な仕事ですが、それらは売上の「後」に来るものであって、先に来るものではありません。

例えば設備投資、人材育成などは社長の重要な意思決定ですが、設備投資がどれくらい必要か、は、「何をどれくらい売るか」によって投資内容や投資規模が全く異なります。人材育成も、どんな人材を採用・育成するかは「どんな差別化戦略を取りたいのか」というマーケティング戦略によって決まります。IT投資もそうです。IT投資は戦略的な決断ではありますが、「どんなIT投資にするか」というのは、会社のマーケティング戦略、差別化戦略によって異なります。


会社がどうありたいか、というのは、顧客との関連によって決まると思います。そうでなければ独りよがりになります。顧客との関連で自社を見る、というのもマーケティングにほかなりません。

つまり、マーケティング戦略の意思決定とは、社長にとって極めて重要な意思決定なのです。一番重要と言っても良いと思います。単純に、ここに失敗すると「売れない」からです。


●社長がマーケティングを軽視している?

しかし、残念ながら社長が「マーケティング」を真剣に考えている、ということがあまり無いように言われます。弊社のお客様についてはそうではありませんが(そうでなければ弊社をお使いいただくはずがありませんので)、世間一般には「マーケティングは営業の一部」みたいな考え方をされているように思います。営業とマーケティングは分けられず、営業はマーケティングの一部ではあるのですが、「どんなお客様にどんな価値を提供するか」という会社の根幹の意思決定を組織体制に反映させている例はあまり無いようです。

これは、恐らくはマーケティングやマーケティング戦略に対する、ある種の抵抗感のようなものに起因すると弊社は考えています。何となくとっつきにくい、何となく社長である自分の仕事ではない、というように思われているのではないでしょうか?

 


マーケティングが会社の「あり方」を決める

 

●誰にどんな価値を提供するか、は事業の根幹

「どんなお客様にどんな価値を提供するか」というマーケティングは、事業の根幹です。

例えば、あなたが果物屋さんをやっているとします。売り物は果物です。オペレーションは果物を仕入れ、陳列し、販売する、という流れでしょう。

しかし……同じ果物屋さんでも、事業をどう捉えるか、によってすべきことは全く異なってきます。

マーケティングでは、お客様にとっての価値、を「ベネフィット」と呼びます。売り物は果物です。では果物のベネフィットは何でしょうか?

例えば、「朝忙しいときのヘルシーで調理不要な朝食」などは果物の提供する価値、ベネフィットと呼んでよいでしょう。その場合には、果物屋さんが野菜ミックスの生ジュースをスタンドで売ったり、店頭に脂肪を計測するヘルスメーターがあっても面白いかもしれません。

また、「夕食のあとのおいしいデザート」も果物の提供する価値の一つですね。その場合には、アイスクリームやコンデンスミルクを一緒に売ったり、フルーツケーキがあってもよいかもしれません。この場合には、店頭にヘルスメーターがあってはまずいですね。

このように、同じ果物屋さんだっとしても、ベネフィット、すなわちお客様にとっての価値の定義によって、すべきことが全く違うのです。品揃え(=仕入れ)、売り方(営業方法)、店員の応対方法(=人材教育)、店構え(=設備投資)などの全てが変わります。当然必要となる資金の額も変わるでしょう。


これが、本当の意味での「事業領域の定義」であり、お客様にどのような価値を提供するか、というマーケティングの視点が事業の根幹にあることがおわかりいただけるかと思います。

このような意思決定に、社長が関わらなくて良いはずがありませんよね? 営業部の中の一組織であるマーケティング部の中間管理職の方の意思決定としては重すぎます。私には、社長の専権事項のように私には思えます。

マーケティングは、会社の極めて重要な意思決定なのです。会社のあり方を決めるのがマーケティングなんです。

このような方法の一つが「差別化戦略」です。差別化戦略を決める、ということは全社的な決断になります。それについてはこちらのページをご覧ください。

 


社長はマーケティングの「使い方」を知っていればいい!

 

●社長が全て自分でやる必要はない!

ここで問題なのが、そのプロセスに社長がどう関わるか……です。社長は忙しい存在です。やることがたくさんあります。マーケティングが重要であることは疑いの余地はありませんが、どうアプローチするか、というのは難しい問題です。


弊社の結論は、


社長がマーケティングのエキスパートである必要は無い。マーケティングの使い方を知っていれば良い


ということです。社長がマーケティングを知らなければ困ります。しかし、その道のエキスパートである必要はありません。


マーケティングの道は奥深く、十年、二十年で極められるものでもありません。弊社代表の佐藤義典のマーケティング歴はもう20年になろうとしていますが、それでもまだまだ未熟です。マーケティングのプロになるのは片手間では無理です。世界最先端の理論を学び、泥臭い実戦経験も備え、BtoCもBtoBもできるようになるには少なくとも十年間はみっちりやらないと無理です。当然MBAレベルの理論体系も理解している必要もあります。

ですから、そもそも社長がマーケティングのエキスパートになることは無茶です。

社長は、社長であるがゆえに社員を部下に持っています。ですから、部下に指示が出せ、適切な質問ができれば良いのです。

パソコンの中身はわからなくても、パソコンは使えますよね? マーケティングも似たようなもので、細部まで理解しなくても、ざっくりとしたマーケティングの「使い方」がわかればいいんです。

弊社が提供する「戦略BASiCS」などのツールは、社長のためのマーケティングツールなのです。


●シンプルなツールで本質をえぐろう!

マーケティングのプロではない社長にとって使いやすく、かつそれを全社員で共有して一つの方向に進んでいくためには、ツールがシンプルである必要があります。

マーケティングや経営戦略の本というと、○×△分析、XYZマトリックス、など複雑な分析手法が載っているはずです。これらの手法を全部使いこなして共有する、というのはまず無理です。正直な話、トップスクールMBAを取っていたとしても、マーケティングや経営戦略を専攻としていなければ、これらの理論を十分に理解していない場合もあります。そもそも分析することに意味があるのではなく、「使いこなして成果を出す」、さらに言えば「売上を上げる」ことに意味があるのです。

そのためのツールは、シンプルで構いません。というより、シンプルな方がいいのです。社長が使え、社員が理解し、共通言語になる、そんなツールが理想です。

 

●5つの要素でマーケティング戦略を考える「戦略BASiCS」

戦略BASiCSは、まさにそのためにS&T代表の佐藤義典が考えたシンプルなツールです。

大変単純で、

1)戦場・競合:どの市場でどんな競合と戦っているのか?
2)独自資源:自社にしかない独自な経営資源は何か?
3)強み・差別化:顧客にどんな差別化された価値を提供するのか?
4)顧客:ターゲット顧客はどのような方々か?
5)メッセージ:上の4つをまとめ、実行段階を統括するメッセージは?

の5つだけを考え、マーケティング戦略を構築しよう、というフレームワーク(考える枠組み)です。


経営戦略やマーケティング戦略の理論はあまたあれど、ほぼ全ての理論はこの5つの要素のどれか(あるいは5つの要素の関連性)に還元されます。

つまり、この5つの要素さえおさえていれば、マーケティング戦略はOKなのです。

いかがですか? これなら忙しい社長にでもできそうではありませんか?

戦略BASiCSは、社長の手に「マーケティング戦略」を取り戻し、社長自ら自社の方向性やマーケティングを考えるためのツールなのです。

 

●単純なものほど奥が深い

単純であることと、簡単であることは違う概念です。

戦略BASiCSは、単純です。考える要素はたった5つです。

しかし、「どんなお客様が、自社との比較対象(=競合)は何だと考え、それに対してどう差別化していくか」と5要素間の一貫性をとりながら戦略を考えていくのは極めて大変です。

一見簡単なように見えますが、これを考えるだけでも通常は数ヶ月がかりになります。そもそもお客様はどんな人なんだ、というのを探るだけでも1ヶ月くらいはざらにかかります。さらに、自社には顧客が見えてない、というのがわかって社長が愕然とするケースも少なくありません。

物事の本質はシンプルで、そのシンプルな要素を使いこなす、ということに経営の真髄があるのではないかとS&Tは考えています。同じ包丁を使っても、料理人の腕によって、できる料理は違うものになります。同じバットを使っても、プロ選手の間ですら打率の違いがあります。要は使い方であり、どれくらい真剣に考えたか、ということです。真剣に考えるためにも、シンプルである必要があります。

 

●社長が部下に適切な質問ができるために

ここまで来ればもうおわかりでしょう。

社長がマーケティングにどうアプローチすべきか、というのは、この戦略5要素(=戦略BASiCS)を考え、部下と話し、道を指し示す、ということです。

全て自分でやる必要もありません。大体の方向性を示し、部下に話しあってもらい、社長がどこかで意見を言い、また部下が話し合い、というトップダウンとボトムアップの両立のようなこともできるかもしれません。大筋を示すのは社長の仕事、具体的に中身を詰めるのは社員の仕事、というのがおおまかな役割分担になります。BASiCSという共通言語があれば、そのような役割分担が可能になるのです。

社長は、マーケティングができる必要はありません。部下に適切な質問ができればいいのです。


・その新製品、うちの独自資源と合ってないし、うちらしく無いよな?
・ターゲットと強みはあってるのか、確認しておいてね。
・そのエリアでのうちの競合は誰か、お客様に聞いたの?

などの本質的な問いかけができれば、具体的なところは部下に任せてしまえばいいのです。上の質問は、上記の5つの戦略要素がわかればできます。


つまり、社長がマーケティングにどうアプローチすべきか、それに対するS&Tの回答は、「戦略BASiCSでマーケティング戦略を考え、それを共通言語として社員と話し合おう」ということです。

 

なお、参考までに、もう1つのシンプルなツールが「3つの差別化軸」です。これは、戦略BASiCSと連動しますが、差別化軸の下でBASiCSの一貫性を取る、ということです。3つの差別化軸についての詳細はこちらからどうぞ。

 


社長のためのシンプルなツール、戦略BASiCS

 

●戦略BASiCS

戦略BASiCSについては、このサイトや各種の書籍で公開しています。

戦略BASiCSの概要については、こちらをクリックしてください。

S&T代表、佐藤義典のこのような考え方に基づき、「社長のためのマーケティング戦略の本」として書かれた本が2冊あります。

 

経営戦略立案シナリオ:社長は戦略をどう考えるべきか?

この戦略BASiCSについて、300ページに渡って詳細に解説した本です。マーケティング戦略については、本書1冊でほぼ問題ないと思われます。古今東西の戦略理論を網羅的にまとめ、わかりやすく書いた本です。マクドナルドなどの身近な事例を使って解説していますので、読みやすいと思います。

詳細はこちらからどうぞ

 

売れる会社のすごい仕組み:社長はマーケティングをどう実行すべきか?

戦略BASiCSを考え、それをどう実行段階に落としていくか、その際に社員はどう動かすべきなのか、という「実行段階」までを解説した本です。20代半ばの女性社長がイタリアンレストランを建て直していく、という物語形式です。フィクションではありますが、実際に起きた話を舞台を変えて色々と差し込んでいます。物語ですので、社長はもちろん、社員全員で共有できると思います。

詳細はこちらからどうぞ

 

そうは言ってもエキスパートの意見を聞いてみたい、コンサルティングを付けてみたい、という場合はこちらのページをそれぞれご覧いただければと思います。

S&Tのコンサルティングについて

S&Tのコンサルティングの特徴

コンサルティングのメニュー

コンサルティングの進行と費用

 

では、社長さん、頑張ってくださいね!



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