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コンサルタントの選び方


コンサルタントの選び方

コンサルティングの依頼主(クライアント)がコンサルティングを依頼する際の大きな不安が、「どの会社に、誰に頼めばいいのだろう?」ということだと思います。

それはもっともな不安で、どんな人がコンサルティングをするかによって、大きく変わります。コンサルティングはやっぱり「人」です。このページでは、コンサルタントの選び方について、アドバイスさせていただきます。

マーケティングに限らず、財務、会計、M&Aなどでも同じだと思います。コンサルティングは安くはありません。その投資をする前に、以下のチェックはしておきましょう。

コンサルタントはまずは「人」です。どんな「人」を選べばいいのか、考えていきましょう。

1)実戦経験が豊富であること

まずは当然ながら、その分野での実戦経験が豊富にあることが重要です。実戦感覚がないと、もしくは実戦から長く離れていると、「現場」をイメージすることができません。効果があるコンサルティングは、現場でスムーズに実行できます。成果が出るのは、会議室ではなく、現場だからです。

ここでいう「分野」とは、マーケティングならマーケティング分野、財務なら財務分野、という意味です。業種業態については、そんなに気にされる必要は無いとは思います。むしろ、広い業種業態の経験があるコンサルタントを選んだ方がよいでしょう。

自分と同じ業界以外の経験が豊富なコンサルタントを選ぶことをお薦めします。自社と同じ業界が長いコンサルタントですと、安心感はありますが、わざわざお金を払って頼む意味がありません。自社の優秀な社員に思う存分力をふるわせた方がいいと思います。同じ業界にいるコンサルタントは、その業界に染まっており、新しい考え方・見方ができないことが多いからです。

革新のヒントは、他業種にゴロゴロと転がっています。コンサルタントの付加価値の一つは、異業種の成功事例を知っていることです。それは、他業種の経験があるコンサルタントは持っているはずです。

チェックポイント:コンサルタントの実戦経験を、プロフィールなどからチェックしよう! 業種業態の幅が広い方が良い。

 

2)理論的知識・知恵がしっかりしていること

実戦経験が豊富なだけではコンサルティングができません。勘と経験は重要ですが、勘と経験「だけ」のコンサルティングは、事前に仮説検証ができませんので非常に恐ろしいです。

その分野(マーケティング、財務、人事、など)の豊富な理論を体系的に理解していることが重要です。

ある業種の成功体験が他業種でそのまま通用するとは限らないからです。その成功体験を理論化し、普遍化できることが重要です。それによって、他業種の成功事例が初めて自社へと応用できるのです。

これは、ある意味の「アタマの良さ」です。コンサルタントを名乗る以上、アタマがいいことは必須要件です。

高い学歴や、MBAや中小企業診断士のような資格を持っているからと言って良いコンサルタントだとは限りませんが、資格を持っていないとお話にならない、ということはありえます。ちなみに、中小企業診断士には現場系が強い方が多いです。米国MBAには理論系が強い方が多いです。両方もっていればいいのですが、そのような人はなぜかあまり見たことはありません(弊社代表佐藤義典は両方持っています)。

会社として、または個人として著書が2,3冊あればある程度の理論はわかっている、と言えるでしょう。一冊だけですと、ある成功体験「だけ」に基づいて書くことができます。2,3冊出せる、ということは、理論は大丈夫だと考えていいでしょう。さらに、独自の理論・フレームワークが構築できれば、その分野の理論では超一流のコンサルタントだと考えていいです。そんな理論家でかつ実戦経験が豊富なコンサルタントを見つけたら、幸運です。

著書が無いコンサルタントでも、投稿・寄稿などはしていることが多いです。少なくとも、HPで情報発信くらいはしているでしょう。それもしていなけれが少々不安です。資格などをしっかりとチェックしておきましょう。

チェックポイント:その会社あるいはコンサルタントの著書・投稿記事をチェックしよう! 著書が数冊あれば、理論は大丈夫なことが多い。

 

3)理論と実戦が融合されていること

理論に裏打ちされた実戦、実戦で検証された理論、というのがコンサルタントのあるべき姿だと考えます。

それは、既存の理論に対する態度となって現れます。マーケティングの場合には、典型的な例が3CやSWOT分析に対する考え方です。

著書の中で、「これがSWOT分析だ!」などと誇らしげに語るコンサルタントは要注意です。こちらのページでも書きましたが、SWOT分析には限界があります。

「戦略を作るときにはSWOT分析をやろう」と書いているコンサルタントに頼むときには、よくその真意を聞いたほうがいいです。SWOT分析は、戦略のチェックにはいいですが、戦略を作るときには大変使いにくいです。例えば、「規模が小さいこと」は強みか弱みか、仮説なしにどのように決めるのでしょうか? 「規模が小さい」という現実は、強みとも弱みとも言えません。すぐに規模が拡大できないのであれば、「規模が小さい」ことをどのように利用していくか、が戦略の醍醐味です。このように、戦略が無い段階で、「規模が小さいこと」を「強み」「弱み」と分類することに全く意味はありません。「規模が小さい」ことが強みになる場合」と「弱みになる場合」を分けるだけならともかく、強み・弱みと分類すると、戦略を作る段階ではバイアスがかかってしまいます。

これは、自分でSWOT分析を実際にやって、戦略をひねりだそうとすれば、誰でも突き当たる問題です。SWOT分析がどうこうというより、外国の理論や本に書いてあることをそのまま受け入れて、実戦で検証せずに「やろう」というコンサルタントだと、「机で美しく、現場で使えない」ものになってしまいます。

理論と実戦がきっちり融合されているかどうかは、マーケティングの場合はこのように、3C分析SWOT分析に対する態度でわかります。人事や財務の場合も同じことが言えると思います。このあたりも、著書をきっちりチェックすることで相当部分見破ることができます。コンサルタントとしては著書があることは当然で、その内容までチェックしていきたいものです。

チェックポイント:著書があるからといって安心せず、その中身は実戦が理論に裏打ちされ、理論が実戦で検証されているか確認しよう。

 

4)話がわかりやすいこと

優れたコンサルタントの条件の一つに、「難しいことをわかりやすく説明できる」ことがあります。それは、クライアントにとっては、「わかりやすい」ことに加えて、「そのコンサルタントは本質がわかっている」というチェックにもなります。

わかっていないコンサルタントほど、専門用語・カタカナ・英語を使ってクライアントを煙に巻こうとします。本当にわかっているコンサルタントは、難しいことの本質を見事に言い当てます。例えば、「利益を上げるには、売上を上げるか費用を減らすしかない」のは当たり前ですが、優秀なコンサルタントはそのような「本質」を大事にします。

そして、そのようなわかりやすい言葉でクライアントが納得しなければ、コンサルティングが効果を発揮しないからです。

クライアントの理解を超えるほど複雑な統計分析を勧めるようなコンサルタントはその意味で要注意です。本質を理解しているコンサルタントほど、あっけないほど単純なツール(例えばクロス集計)を重視します。

コンサルタントが「難しい話をしたがる」責任の一端は、クライアント(依頼者)側にもあります。そのような難しい話を有り難がってしまい、本質をわかりやすく語るコンサルタントを軽視しがちなのです。難しい話を有り難がってきくためにコンサルティングを依頼するのであれば、全く問題ありません。しかし、効果を望んでコンサルティングを依頼するのであれば、「難しい話を有り難がって聞く」ような態度は慎んだ方がいいです。

これは、著書を出しているようなコンサルタント・コンサルティング会社の場合は容易にチェックできます。著書がわかりやすいかどうかチェックすればよいのです。

また、その会社・人の研修を受けてみることもいいです。社員研修であれば数十万円、公開研修であれば数万円で受講できるはずです。数千万円〜億単位の投資をする前に、そのようなチェックはしておきましょう。

チェックポイント:著書のわかりやすさをチェックしよう! 研修・公開講座などでわかりやすさを確認しよう!

 

5)人格者であること・相性が合うこと

コンサルタントである以前に、信頼できる優秀なビジネスパーソンであることは最低条件です。人柄がよいこと、信頼できることは最低条件です。

謙虚さも重要です。自信と謙虚さは違うものです。むしろ、自信があるからこそ謙虚になれるものです。自信がないと、クライアントの前で空威張りしたくなります。自信があるコンサルタントは、「それはわからない」「それはできない」とはっきり言うものです。ある分野を突き詰めれば突き詰めるほどに、その奥深さに気づき、怖くなるものです。超一流の人ほど、自分で自分のことを「カリスマ」「第一人者」などとは言わないものです。「私なんかまだまだです」というものです。

その意味で、「人相」などは軽視されがちですが重要な条件です。もちろん顔の善し悪しではありません。その人の経験が物語る「人相」です。おかしな人は、必ず「顔に出る」ものです。「なんかおかしいな」と思ったら、やめておいたほうが無難です。

また、優秀であっても、「自分」と合わなければ、それはやめた方が良いです。「この人となら良い友達になれそうだ」という相性は重要です。これは良い悪いではなく、合う合わないです。依頼する前に、コンサルティングを担当するコンサルタント本人と会って、合わなければ変えてもらう、頼まない、などをするべきでしょう。

チェックポイント:実際にコンサルタントに会って、の人柄、相性をチェックしよう!

もし、上記に全てマッチするコンサルタントがいたら、それはぜひ話を聞きにいきましょう。きっと良き相談相手となってくれるでしょう。

 


コンサルティング会社の選び方

コンサルタントは、個人でやっている場合もあれば、コンサルティング会社に所属していることもあります。次に、コンサルティング「会社」の選び方を考えていきましょう。

1)良いコンサルタントを多く抱えていること

上で説明したような、良いコンサルタントを多く抱えている、というのが当然ながら良いコンサルティング会社の条件です。

 

2)コンサルタントの品質管理がしっかりしていること

コンサルティングはやはり「人」ですから、誰がやっても同じというわけにはいきませんが、それでも、コンサルタントの品質管理ができていることは絶対に重要です。その会社から誰が来ても、しっかりとしたコンサルティングができる、ということです。

コンサルティング会社によっては、いわゆる「コンペ」(コンサルティング会社を決めるためのプレゼン競争)のときだけ、本の著者や、優れたエース級の人材を出し、実際のコンサルティングは、経験の浅いコンサルタントが行うようなこともあると聞いています。

コンサルタントの指名は可能か?

「あ、この人にお願いしたいな」と思われた場合、その人がコンサルティングを行う、という契約が可能なところにお願いしないと、上記のようなことが起こりえます。

弊社代表佐藤義典が弊社設立前にいた会社では、そのような条項(佐藤義典がコンサルティングを行う)という一文を契約に入れたこともありました。

ちなみに、ストラテジー&タクティクスでは、コンサルタントの指名はできません。佐藤義典以外にコンサルタントがいないため、必然的に佐藤義典が行うことになります。

 

3)コンサルティング後の売り物

残念な話ではありますが、IT系のコンサルティング会社では、コンサルティングがメインビジネスではなく、その後の「ITシステム」の導入がメインの目的の場合があると耳にします。

また、広告代理店がマーケティングコンサルティングを無料または格安で行う場合があります。その場合、その後の「広告」がメインの目的の場合もあります。コンサルティングでは損しても、その後の大規模な広告投資で取り返すわけです。

広告投資が数十億円に上る場合には、代理店には数億円の収入が入ります。そうであれば、何千万円のコンサルティングをしても、十分に元が取れるわけです。

このような場合、コンサルティングは残念ながら、「営業ツール」になってしまいます。最悪の場合、クライアント(依頼主)にとっては、「コンサルタント費を払いながら、その後のIT投資・広告投資の提案のネタも提供する」という事態を招く場合もあります。

もちろん、そのような会社が全てなわけでは全くありません。そのような会社もあると耳にする、ということです。

コンサルティングを専業にしている会社に依頼すればこのようなことは起こりませんが、それ以外の場合には、その会社の評判をチェックするとともに、依頼時に、IT会社には「ITの依頼はしない」、広告代理店の場合には「広告は発注しない」ということを明言しておいたほうがいいでしょう。

それでも(有料・無料はともかく)コンサルティングをしてくれる場合には、その後の売り物を売りこまれないように注意しながら、コンサルティングを勧めればよいでしょう。

 

4)研修会社 と コンサルティング会社の違い

いわゆるコンサルティング会社を使う場合は問題ありませんが、「研修主体の会社」がコンサルティング会社を名乗っている場合は注意が必要です。

研修をお願いしたくてそのような会社に依頼する場合はもちろん問題ないのですが、コンサルティングを依頼する場合は、気をつけましょう。研修会社の強みは、「教えるのがうまい」ことです。これは、コンサルタントとしては必要な条件ではありますが、十分な条件ではありません。

教えることは、教える訓練と理論の理解があればできます。しかし、コンサルティングには、泥臭さを伴う、地べたにはいつくばったことがあるような実戦・現場経験が絶対に必要です。研修の講師は、会議室で教えるのが上手であればいいのです。コンサルタントは、それに加えて、現場で通じる経験が必要なのです。

 

5)若いコンサルタントの送り込みについて

コンサルティング会社によっては、調査やデータ整理のために、大学を出て2、3年の若いコンサルタントを多く送り込むことがあります。もちろん、彼らの人件費を請求するためですが、クライアント(依頼主)にもメリットはあります。クライアント側の稼働が減ります。ですので、必ずしも悪いことではありません。ただ、費用は膨大になります。お金はあるが、社員の稼働を裂きたくない、というときは、小規模な会社ではなく、大手コンサルティング会社に頼んだ方がよいでしょう。

ストラテジー&タクティクスは、データの分析などはクライアント(依頼主)の社員にお願いすることが多いです。これには理由があります。クライアントの社員にノウハウを移植するためです。

コンサルタントの付加価値は、戦略的な思考法、今までにない分析の切り口などを提供することです。業種業態の知識はクライアント(依頼主)の方があるに決まっています。自社の状況もクライアントが一番よく知っています。コンサルタントがそれでも付加価値を出せるのは、戦略的な思考・手法など、業種業態によらない「知恵」があるからです。

例えばデータを分析するにあたっても、今までと違う手法で行うこともあります。コンサルティング会社の、分析が得意な若手コンサルタントがやったほうが効率が高いことは確かです。

しかし、弊社ではそれでもクライアントにやっていただくことが多いです。それは、そのような経験を積むことによって、クライアントの社員さんにそのようなノウハウを習得していただき、いずれはコンサルタント無しでもできるようになっていただくためです。コンサルタントしかできなければ、コンサルタントへの依存症になってしまいます。クライアントの社員力を高めることも、ストラテジー&タクティクスのコンサルティングの大きな目的の一つです。


 

いかがでしたでしょうか? 良いコンサルタントの選び方は、良い友人の選び方とそんなに変わるものではありません。逆に言えば、友人になりたくないような人にコンサルティングをお願いするのはどうかと思います。これが、コンサルタントとの良き出会いの参考になれば幸いです。



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