コンサルティングで得られる成果
コンサルティングで得られる成果・メリットは?
コンサルティングの依頼主(クライアント)にとって一番重要なことは、
「コンサルを頼むと何をしてくれるの?」
「コンサルに頼むとどんな成果があるの?」
ということでしょう。
ストラテジー&タクティクスが考える
コンサルティングの成果
上記の質問への回答はコンサルティングの立場から書くと我田引水になりがちで、非常に難しいものですが、なるべく客観的に記述していきます。ここでは、「マーケティングの」というよりは、一般的なコンサルティングについて、です。
1)情報の整理と可視化・客観化
まず、コンサルティングのメリットに、情報の整理、があります。
通常、社内や業界の事実は共有されているものです。しかし、既知の事実であっても、
「情報の整理と意味づけ」
がされていないことが圧倒的に多いです。
情報を整理し、ぱっと見やすい状態にするだけで、問題点が明らかになることがあります。
これは弊社代表の事例ですが、ある外資系の超一流企業の顧客分析をしたことがあります。もちろん、守秘義務契約を締結した上で顧客情報をクライアント(依頼主)からいただいて分析をします。その結果を日本法人の社長に見せたところ、
「この会社の社長を3年間やってきたが、今日初めて顧客の実態がわかった気がする」
と言われたことがあります。
情報自体は、社内にあります。それを意味のある形で整理し、意味づけすることは、実はそう簡単にできることではないのです。それには、論理的な思考力や、問題整理ツール(フレームワーク)を使いこなすことが必要だからです。コンサルタントは、まさにそれに長じているのです。
わかりやすい形で情報が整理されれば、社内での議論も客観的にかつ活発に行われるようになりますし、意思決定の精度も上がります。これもコンサルティングの成果の一つです。
2)岡目八目:社内や業界の非常識
自分では気づかなくとも、他人がみれば容易に気づくことがあります。特に、
「顧客の立場から見れば当たり前のことが、売り手にはわからない」
ということが業種・業界を問わず起こります。
例えば、今は高級おにぎりはコンビニで普通に売られていますが、あるチェーンがそれを最初に出したときは、「おかしくなったのか」と言われたそうです。おにぎりは120〜130円でなければ売れないもの、信じられていました。ただ、顧客から見れば、おにぎりの選択肢で普通のものと高級のものがあって、自然です。それが、業界の、自社の「常識」に縛られていてわからなかったのです。
優秀なコンサルタントは、そしてクライアント(依頼主)の懐が深ければ、このような「常識」のワクを外して考えることができます。
3)専門家としての意見
マーケティング、財務、会計、生産性向上、など、コンサルタントは、その分野(業種とは限らない)について、深い知見を持っています。
企業ですと、配置転換や、いわゆる「何でも屋」が求められたりして、一つの分野を深く掘り下げることが難しくなります。
コンサルタント、特にある分野に特化しているコンサルタントは、うまく使えば広く、深い引き出しを持っています。
4)他業種の知見
自業種のマネをすると、「パクリ」「二番煎じ」と酷評されます。しかし、他業種のマネをすると、「革新的」と言われます。
色々な業種を経験しているコンサルタントは、他業種の知見を持っています。それを自業種に活用できれば、「革新」とまではいかずとも、大幅な改善や新しい提案ができることがあります。
以上はいわゆるコンサルティングそのものの成果なのですが、やり方によっては、副次的な、しかし極めて重要な成果があります。それが、
5)社員力の強化・育成
です。コンサルティング会社によっては(ストラテジー&タクティクスもそうなのですが)、分析の多くをクライアント(依頼主)の社員にしてもらうことがあります。それは、コンサルティング費の低減以上に、
社員がそのやり方を覚える・わかる
という大きいメリットがあります。コンサルティングのノウハウが社員に移植されるのです。
コンサルタントは、違う切り口・引き出しを持っています。それを社員ができるようになれば、コンサルタントがいなくてもできるようになります。
これは、実務を通じた実戦での人材力強化、という、長期的に自社に貢献し続ける利点があるのです。変な話ですが、コンサルティングの直接の成果よりもこちらの方が大きい場合もあります。
そのためには、コンサルタント会社に丸投げせず、自社の社員とコンサルタントが共同で作業に当たることが重要なのは言うまでもありません。
コンサルティングに期待すべきでないこと
逆に、コンサルタント・コンサルティングに期待しない方がよいこと、期待すべきでないこともあります。
1)魔法の杖は存在しない:奇手・奇策は求めない
短期的な特効薬がある場合は希にありますが、通常はそうそうありません。ある程度のことは、どの企業もやっているものです。
もし利益を上げる魔法の杖があるのなら、株で大もうけすることもできるでしょうし、世の中から倒産も失業もリストラもなくなるでしょう。基本的には王道しかなく、当たり前のことを当たり前に、そして徹底的にやることが全ての基本です。
魔法の杖、特殊なテクニックをお求めになる気持ちは大変よくわかりますが、残念ながら弊社ではお手伝いできません。
一流のコンサルタントと呼ばれる人ほど、奇手・奇策は使いません。顧客の立場に立つ、など当たり前のことを徹底的にやっていきます。それは、それが時代を経て検証されたことだからです。
奇手・奇策の効果は長く続きません。多くの場合、副作用も伴います。もちろん、その限界・短所を知って使う分には問題ありませんが、注意して使いましょう。
ただ、「業界常識」からみて「奇手・奇策」と見えることはあります。「業界の常識、お客様の非常識」となっている場合があるからです。この、「お客様の常識・業界の非常識」という場合には、お客様の常識に従うことが奇手ではなく、王道になることが多いです。
2)業界知識
ある業界のエキスパートは確かに存在します。例えば飲食業のコンサルタントなどはその例です。そのようなものをお求めの場合であれば、それは構いません。
ただ、いわゆる経営コンサルタントは、ある業界のエキスパートではないことが多いです。もちろん、土地勘はあったほうが良いでしょう。消費財と生産財、サービス業などで異なる場合もあります。
ただ、業界の知識については、クライアント(依頼主)の方がよく知っていることが多いです。
コンサルタントの価値は、
・「既に知っていることを違う切り口で見る」
・「他業種の知見を取り入れる}
・「客観的な立場から岡目八目で見る」
などにあります。
また、いわゆる「知識」は陳腐化します。知識で勝負するコンサルタントにも当然高い価値があります。
ただ、一流コンサルタントの多くは、「知識」より「知恵」で勝負します。自社が持っている業界知識と、コンサルタントが持っている知恵・新しい見方などが結びついたときに、高い効果を発揮するのです。
以上、コンサルティングの成果を考えてきました。成果が出るかどうかは、コンサルタントの優秀さももちろんですが、クライアント(依頼主)の真剣度にも大きく影響されます。
真剣で前向きなクライアント(依頼主)と、それに応えようとする優秀なコンサルタントが出会えば、かなりの成果は得られるでしょう。
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